そして、失恋をする
午後四時二十五分。教室にある壁掛け時計の針がその時刻を指したとき、本日の授業が一通り終了した。窓の外に広がって見えるのは、かすかに赤みを帯びた夏の夕空。そして時間が経過するとともに、西に傾くオレンジ色の太陽が僕の目に映る。
窓の外から聞こえるツクツクボウシの鳴き声は、変わらずうるさいままだった。
「まだか……」
クラスメイトの生徒が教室を出て家に帰る中、僕はスマホの液晶画面に表示されているLINEのメッセージを自分の目で確認していた。
学校が終わる時間になっても、まだ千夏からのLINEのメッセージは送られてなかった。
「陸は、帰らないの?」
「えっ!」
少し心配そうな表情でスマホの液晶画面を見つめていたら、となりからすぐ近くで女性の声が僕の耳に届いた。僕は、そちらに視線を向けた。
「希か……」
僕は視線の先にいた、女性の名前を口にした。
「いや、もう帰るよ。希は、どうするの?」
「私も、帰るよ。夏のバレーボール大会が終わってから、本格的に自分の進路のことにも力を入れるようにしてるんだ」
「そうなんだ」
そっけない口調で言ったが、僕と違って希はしっかりと自分の進路を見据えてるんだなぁと思った。
「途中まで一緒に帰ろっか?」
「ああ、いいよ」
断る理由もなかったので、僕はそう返事して希と一緒に学校の外に出た。