そして、失恋をする
「なんか、いつもと違う感じがするね」

「えっ」

「陸と知り合って、二人で帰ることが初めてだから。今は、なんか違う感じがするね」

そう言って希は、僕に視線を向けた。希の茶色瞳が、西に沈む夕日に浴びてオレンジ色に映る。

「陸は、どう思う?」

「僕も、そう思うよ」

僕は、コクリとうなずいた。

「ほんとにそう思ってる?私の意見に合わせてくれてるのじゃないの?」

「そんなことないって。違ったら、ちゃんと違うと言うし」

それは、ほんとうだった。いつもとは違う、言葉では言い表せない感情を僕も心の中で抱いていた。

「よかった。陸も、私と同じ気持ちを抱いてくれていて」

そう言いながら、希は頬にえくぼを作って笑った。今まで彼女の笑ってる顔は何度も目にしたことはあるが、今の希の笑ってる顔はいつもと違ってなんだかかわいく見えた。

ーーーーーードクッ。

彼女のことは別に意識したつもりはないが、僕の心臓の鼓動が音を立てた。




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