そして、失恋をする
「私、陸に嫌われてた?」

「ううん、そんなことないよ」

「ほんとう?」

「ほんとうだって」

希がそこで立ち止まって視線をこっちに向けてもう一度同じ質問したので、僕ははっきりと答えた。

出会った当初から、希のことは嫌いではなかった。ただ、希のことを好きになってしまうと、前に好きだった千春から新たな恋愛感情が上書きされ、彼女の存在が僕の記憶から消えるのが怖かった。だから希とは出会った当初から、友人関係のままのかもしれない。その先の関係になってしまうと、千春のことを忘れてしまうから。
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