そして、失恋をする
「苦しくないの?」

「え、なにが?」

「人を好きになるって、苦しくないの?」

なんでそんなことを訊ねたのか自分でもわからないが、僕は千夏に視線を向けてそんなことを訊いた。千夏のうるんだ茶色瞳が、僕の目に映る。

「ふふふ」

僕の言葉を聞いた千夏が、白い小さな手で口を押さえながらクスクス笑った。彼女のクスクス笑う姿を見て、僕の頬が少し赤くなった。

「やっぱり変なこと聞いた?」

そう思った僕は、その彼女の姿を見て、頬をさっきよりも赤くなっていた。

「べつに、変じゃないよ」

「じゃ、どうして?」

あっさりとした口調でそう言った千夏に、僕は首をかしげた。

「いきなりそんなこと私に聞くもんだから、ただビックリしただけ」

驚くというよりも、千夏はうれしそうな顔をしていた。それと同時に、千夏の白い頬が、かすかに赤くなっていた。
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