そして、失恋をする
「うーん、どうだろう?”人を好きになる〟か?」

アゴに人差し指を当てながら、彼女は少し困ったような顔をした。

”好きな人〟というワードを聞くたび、僕の脳裏に亡くなった、彼女”千春〟の姿がよみがえる。

「関係性によるんじゃない?」

「関係性?」

千夏のてきとうな言い方に,僕は首をかしげた。

「どういうこと?」

僕の短い問いに、彼女がクスッと笑ったのが見えた。

「こういう話題って、学校の友だちとかでしないの?」

「しないけど‥‥」

困ったように笑う千夏を見て、僕はとまどった言い方で否定した。

ーーーーーー千春が亡くなって以降,恋愛の話題をするのはできるだけ避けてきた。親友の修也とはそれに似たような話題もしたことがあったが、僕はどうしても千春のことを忘れずにいられなくてできなかった。
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