そして、失恋をする
「ありがとう」

僕の左手からペットボトルから離れたのと同時に、千夏が笑みを浮かべてお礼を言った。

「プレゼントだね。一番最初の」

千夏はペットボトルのキャップを右手で握り開けようとする動作をしながら、なにげない口調で僕にお礼を言った。

「え、プレゼント?」

千夏の発言に、僕はパチパチと二回まばたきをした。

ーーーーーーたしかにジュースをおごって欲しいと言われて買ったけれど、それがプレゼントと言える品物でもない気がする。

「プレゼントと、言える品物でもないよ」

僕は、少し困った顔をしてそう言った。

「それは、もらった人の気持ちの問題だよ」

千夏は、明るい口調でそう言った。

「それに私は高校生。しかも病院生活の長い私にとっては、大きなプレゼントだよ」

千夏は、うれしそうな顔で僕にそう言った。

僕からもらったジュースがほんとうにうれしかったのだろうか、千夏の顔がかすかに赤くなっていた。
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