そして、失恋をする
「やったことないの?」

僕は、不思議そうな顔で千夏に訊ねた。

「うん」

千夏は、コクリとうなずいた。

「見たことはあるんだけどね。病院の窓から、空に打ち上がって爆発するの」

千夏は打ち上げ花火を見た光景を思い出したのか、目尻を下げて笑った。

「それと比べたら、きれいに見えるかわからないけどね」

僕は、少し困ったような表情で答えた。

花火の入っている袋を手で開けて、線香花火を手に持った。

「私も、それにする」

そう言いながら、千夏も線香花火を手に取った。

「じゃ、火をつけるよ」

先ほどコンビニで買ったライターをポケットから取り出し、僕はカチッと火をつけた。

ライターの先端からオレンジ色の火が、ゆらゆらと左右に揺れている。ライターの炎で、千夏の瞳がオレンジ色に映る。
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