そして、失恋をする
「陸、私から」

千夏は手にしていた線香花火を、ライターの火につけた。数秒経過した後、すぐにパチパチと音を立てて火がついた。小さな火球から、パチパチと音を立てて、同時に火花があちこちに飛び散る。

「うわぁ、きれい」

少し驚いた後、千夏はすぐに目をキラキラと輝かせてよろこんだ。千夏の顔が、オレンジに照らされている。

「近くでも見ても、きれいなんだね。〝花火〟って」

千夏はその場にしゃがみ込み、パチパチとはじける線香花火をうっとりした顔で見ていた。

「そっか。なら、よかった」

千夏の感想を聞いて、僕はうれしそうに頬をゆるめた。

打ち上げ花火ほどスケールも大きくなく、色も鮮やかな花火ではない。けれど、千夏がよろこんでくれたことにうれしく思えた。
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