そして、失恋をする
「千夏も、怖いのか?自分が消えると思ったら?」

「うん。それは、怖いよ」

僕の問いに、千夏は静かに答えた。

「私ね。明日、死ぬかもしれないでしょ?」

明るい口調でそう言う千夏は、マイナスな考えを口にした。

ーーーーーー確かに明日で、一週間が経過する。千夏の寿命がほんとうに一周間なら、明日で彼女と会うのは最後になる。そして、八月も後少しで終わりを迎える。彼女の名前が、〝千夏〟のせいだろうか、夏が終わると彼女と会えなくなるような気が、ふとした。

「千春‥‥」

聞こえないぐらい、小さな声で僕は好きだった彼女の名前を口にした。

ーーーーーー僕はまた、失恋してしまうのか?また、失ってしまうのか?ようやく千春のことを忘れようとして、新しい恋をしようとしていた矢先、また好きな人を失うのか?また、別れてしまうのか?

僕はくやしそうに、唇を噛んだ。同時に瞳から流れた涙は痛みではなく、悲しくて流れた。
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