＊ Reality ＊ ～鏡の顔～

「愛兄、あの人の事は顔も見たくないし思い出したくはないので、話に出さないで…。」


「お前まだ…。」


愛兄が優しく私を抱きしめて　頭をポンポンと撫でる。


どうやら私は泣いていたみたいだ。頬の涙を指で愛兄が拭ってくれて…


「早く忘れろよ。あいつはお前の側には居られないんだし、あいつよりいい男なら、他にもいるだろ？心美は可愛いし　男がほっとかないんじゃないか？」


「だけど愛兄はダメなんでしょ？ずっと居なかったのに、一年位前から彼女が出来て結婚秒読みって聞いたんだけど、本当なの？」


「どこ情報?こえ～よ。心美は敵にはしたくないな、ハハ…」


「大好きな愛兄だから　私の独自のアンテナが半端なく作動しちゃうの。結婚式には呼んでね！」


「ああ　心美は可愛い妹みたいなもんだからな。だけど彼女との事は本気だったもんだから結婚式もう終わったんだ。式に呼ばないで悪かったな。」


「しれっと報告するとか、流石にそれ酷くない？私に黙って結婚したんだ…でも愛兄、好きな人と結ばれたんだ、おめでとう。」


「ありがとう。また心美に紹介するから　その時はよろしく。」


「さてと、そろそろミッションの報告を頼むよ。」


幸せオーラを封印して　仕事とプライベートの線引きは凄くて、愛兄は人が変わるから　この人程　機嫌を損なわすとか、ミス何て仕出かすと後が怖すぎる。


裏は真っ黒な愛兄に氷室専務の話を、それと一緒にミッションをした絢也の話を包み隠さずに報告した。


「あいつ何時かは心美が襲われるんじゃないかと思ってたが、やっぱり絞めないとな…」


と恐ろしい事を笑いながら呟いていたのを　帰り際に　愛兄が言ってるのを聞いてブルリと震えたのであった。