LOVE DAYS

「あー、もうあたし遅れるから行くわ」

「…はい」

「晴馬の机ん中、探ってみれば？なにか掘り出し物あるかもしれないよ？」

「…ん、」


ヒラヒラと笑顔で手を振って行く麻友ちゃんはあたしよりもエステを優先した。

ま、それはそうだけど。

でも一人でやれる自信が全くない。


思い悩んでスマホを手にして芹奈ちゃんに掛けてみた。

芹奈ちゃんは透哉君といつも一緒に居るからちょっと遠慮してたけど、今回ばかりはさすがに頼らなくちゃダメなような気がする。


「萌、どしたの？」

「芹奈ちゃん、今なにしてる？」

「んー…これから透哉と映画観るの」

「え、映画？なんの？」

「刑事映画」

「えっ！？それって土曜公開された今、話題のやつ？」

「うん、そだよ」

「えー、いいな芹奈ちゃん」

「良かったら萌も来る？透哉もいいって言ってるよ？」

「いや、あたしそれどころじゃないんで…」

「え、なにかあった？」

「いえ、何でもないです、邪魔してごめんなさい。では、」


思わずプツリと切ってしまった。

やっぱり透哉君との邪魔なんて出来ない。しかも映画だなんて。

むしろ補習のプリントなんかがなくても、厚かましくて一緒になんて行けないよ…


深いため息が何度も何度も出て来る。

こんなにため息が出て来るもんだと思いながら、胸が苦しむ。


もう芹奈ちゃんと言う貴重な存在をなくしてしまった今、残されるのは…