LOVE DAYS

「失礼しまーす…」


なんて晴馬君の机に向かって声を掛ける。

幸い、クラスのみんなは帰ったみたいで誰一人いない教室にホッとする。


晴馬君の机の横には鞄が掛けてあるけど、まだ取りに来ない事を願う。


「わっ、すごっ、」


覗き込んで見たらカイトくんが言ってた通り、教科書と貰ったプリントが束になって入ったまま。

いつから持って帰ってないんだろうと、思いながらそこからバサッと取り出した。


学校から配られたプリントも大量に出て―――…


「え、なにこれ」


思わず言葉を漏らした挙句、瞬きをするのも忘れてしまった。

中間テスト数学100点に英語100点。


一瞬、晴馬君の机の中から違う人のテストが出てきたのかと思った。

だけど名前の欄には 藤堂晴馬って書かれてある。


「え、ちょっと待って。待って。嘘でしょ…」


これは何かの間違いだと思いたい。

だって、あの晴馬くんだよ?

あのっていったら物凄く失礼だけど、でもあの晴馬くんだよ?


3年間同じクラスになった事はないけど、あの晴馬君が。

だって、派手な髪してピアスはするしタバコは吸うし停学だってなってるし、制服だってもはや原型すらない着方。

下のズボンは制服だけど、いつも上のシャツは私服。


おまけに裸足でサンダル。


女ったらしで誰にでも好きって言っちゃうような人が、なんで?




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