ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋
「どうしてですか?鍵はいつでもいいじゃないですか。一緒に犯人を探しましょう。私、今すぐ帰れなくても平気ですから」
険しい表情になり、目を細めている。
怒ってる?そう思ったけれど、彼はしがみついていた私の手を優しく絡めとり、体を引き寄せた。
突然の甘い仕草にドキドキして言葉に詰まったが、私は置いていかれたくなくて必死に彼を見つめた。
「シュヴァルツさん……」
「館にはオークションのために多くのヴァンパイアが集まっている。お前を連れては動けない。奴から鍵を手に入れたらすぐに戻るから待っていろ。……お前は人間界へ帰るのだ。目的を見失うな」
抱き寄せる優しい腕とは対照的に、彼の言葉はまた私を突き放した。
嫌だ。シュヴァルツさんと離れたくない。
人間界へも帰りたくない。向こうに欲しいものは、何もない。
「どうしてですか……?」
気づけば涙が流れていた。