ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋
ノア君はまたカーテンの隙間から外を見て、「騎士団に囲まれています!」とこちらへ報告をする。
「なんだよ、シュヴァルツにかぎって、人間なんざ誘拐するわけねえだろ」
私は涙目になりながら、そう言い切るアルバさんに向かってフルフルと首を横に振った。
外にいるベルベットの騎士団が、ついにドアを蹴破り始める。
ドン、ドン、という衝撃音で建物が揺れ、私は音が回数を重ねるごとに過呼吸を悪化させながら、アルバさんの腕にしがみついていた。
「お願い、アルバさん……」
「おい、お嬢ちゃん……」
「お願いですから、私を連れてここから逃げて下さい……」
「だからなんで」
「私なんです……。外の人達が探している、その、人間、っていうのは……。見つかったら、何をされるか分からないっ……」
彼は目を丸くして固まり。
「はぁぁあ!?」
煙突から突き抜けるくらいの驚きの声を上げた。