ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋
同時に彼は、考える暇もなく私の腰に腕を回して乱暴に引き寄せると、ノア君の腕も掴んで部屋の暖炉の中へと飛び込んだ。
そこから物凄いスピードで上昇し、狭い煙突の空洞の中を、鼻が削れそうなギリギリのところで登っていく。
動いたら鼻は削れ、舌を噛んで死ぬ予感がし、私は歯を食いしばって動かなかった。
「チッ!シュヴァルツの奴、こんな面倒なことに巻き込みやがって、前金あれだけじゃ全然足りねえぞ!」
アルバさんはブツブツとそう言いながら煙突の外へと抜け出すと、スピードを失わないままさらに空高く登っていった。
家は赤い騎士団の色で囲まれていて、ちょうど玄関が破壊され、その赤が家の中に雪崩れ込んでいくところだった。
危なかった……。
でも、どうしてシュヴァルツさんが疑われていたのだろう。まだ誰にも私の正体を明かしていなかったのに。