ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋
地上にいる騎士団から見えなくなる高さまで上昇すると、アルバさんは空中で止まり、頭を抱えて、はぁ〜、と深いため息をついた。
「アルバさん、すみません。ご迷惑おかけして……」
「……おかしいと思ってたんだよな、シュヴァルツが女を連れ歩いてるなんて。何かあると思ってたが、まさか人間だとは……」
そう呟いたあと、彼は鋭い眼差しに変わり。
「……ベルベットの奴ら、シュヴァルツがあんたを拐ったって言ってたな」
投げ掛けられた彼の質問には、私が答えるより先に、そばを飛んでいたノア君が強く否定した。
「違います!アカリ様は人間界で悪しきヴァンパイアに襲われていて、シュヴァルツ様はそれをお助けになったのです。今だって、アカリ様を元の世界へ送り届けようと必死で人間界への鍵を取り戻しに行ってらっしゃるのですから!」
ノア君の言葉にハッとした。
私は帰りたくないと駄々をこねていたけれど、私がシュヴァルツさんのそばにいることは、彼にとってリスクがあることなのだ。
そばにいれば、疑われる。私がいるだけで迷惑をかける。
人間界での自分とまるで変わらないことに、涙がこぼれた。
シュヴァルツさんの役に立てるなんて、検討違いもいいところだ。