ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋
オリーヴィアさんの家は隣町にあり、町の境を過ぎた瞬間には嫌でも見えてくる大邸宅だった。
住所を何度も見返して区画を確認していたアルバさんも、その邸宅が見えてくるとリストを懐にしまい、「あれだな」と呟いた。
この町はベルベットの騎士団もいない、静かで平和な町だ。
「私を襲った犯人は男性だったんですが、オリーヴィアさんが犯人ということもあり得るのでしょうか」
「ヴァンパイアは人間に化けると顔つきや性別が変わる奴もいる。外見は手がかりにはならねえよ」
「そうですか……」
犯人は、私の顔と名前を知っている。
これから知らない人に出会うほど、私の正体がバレる危険は大きくなる。
「怖いのか?」
「いえ、その……」
「大丈夫だって。俺はシュヴァルツからアンタを預かってんだ。傷つけたら許さない、ってな。アイツにあそこまで言われたら、お嬢ちゃんは、誰にも傷つけさせねえよ」
風を受けながら、すぐ近くにあるアルバさんの顔を見た。
「……シュヴァルツさんが、そう言ったんですか?」