ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋
「ああ。お嬢ちゃんのことがよっぽど大事なんだろうな」
また心臓がドキドキと鳴り出した。
こんな気持ちになっちゃいけないって、思ったばかりなのに。
私は彼の言葉や態度ひとつひとつに、一喜一憂している。
期待しちゃダメなのに、意識しだすと止まらない。
「それにしても、純血のシュヴァルツが人間を匿ってたってのは、まだ信じられねえな」
「純血?」
「長い歴史の中で人間と交わった祖先がいるから、俺たちヴァンパイアには少なからず人間の血が混じってる。でもアイツは雑じり気のない生粋のヴァンパイアだ。純血のヴァンパイアは冷酷で、孤独を好む。誰も信用できねえのさ。寂しいもんだろ?」
「……そんなことないです。シュヴァルツさんは、すごく優しかったですよ」
「ああ、アイツは変わったよ。この数年で。前は誰にも興味を持たない、脱け殻みたいな奴だったのに。なんつーか、少し人間みたいになったな」
アルバさんはそう言って、照れくさそうに笑った。
シュヴァルツさんが冷酷で脱け殻みたいだったなんて、私を助け出してくれたことからは考えつかないけど、思えば私だってそうだ。
今までずっと誰かと関わることから逃げ続けていたのに、シュヴァルツさんと出会ってから、少し変わった。
彼にもきっと、何かきっかけがあったはずだ。