ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋

三人で邸宅の前に降り立ち、青いバラの咲き誇る庭園を抜けて、玄関のベルを鳴らした。

いつもはシュヴァルツさんが必ず肩を抱いていてくれたけれど、今はそうもいかず、ひしひしと感じる恐怖をどうにか深呼吸をして落ち着けた。

『……どなた?』

扉の向こうから、女性の細い声がした。

「あんたに聞きたいことがある」

初対面の女性に対して不躾な言い方だが、アルバさんはシュヴァルツさんに容疑がかけられていることを、それだけ怒っているのだと分かった。

『……どのようなことです?』

「あんたが人間界で何をやっていたか、についてだ」

その言葉に、扉の向こうに緊張が走ったのが分かった。

動揺しているのか、向こうで握られているであろうドアノブがカタカタと音を立てて震えている。

「覚えがあるようだな」

『……ございません』

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