ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋
アルバさんは信用できる。それでも、シュヴァルツさんとは全然違うのだ。
彼以外に自分の身を差し出さなければならないのかと思うと、涙が出そうな心地になった。
私の髪の中に隠れていたノア君が、ひょっこりと顔を出した。
「アカリ様、そのように身を差し出す言葉を言ってはなりません」
「いいんです。どうせ、夜が来ればアルバさんに血を吸ってもらわなきゃならないんですし……」
私はチョーカーを外して、アルバさんを見た。
覚悟はできている。
すると、彼は大きなため息をついた。
「アルバさん?」
「舐められたもんだな。俺はな、確かに金以外のものは信じてねえよ。きっちり見返りをもらってからしか、相手の望むものは差し出さねえ。……だがな、割りに合わないものは受け取らねえんだよ。それこそ、相手に貸しをつくることになるからな」
「え……?」
「お嬢ちゃんの血は価値がありすぎる。あのシュヴァルツを落としたくらいだ。アンタを館へ運ぶくらいのことで、その血を貰えるってのは、対価として見合ってねえ」
彼は私が外して持っていたチョーカーを、また首へ押し付けた。