ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋
座席はホールの中央で、ステージの真ん前、一番見易い場所だった。
「アルバさん、隣って……」
「ああ。ハインリヒだ」
アルバさんの横は、ハインリヒの席だった。
彼はすでに座っており、その隣に美しい女性も連れている。
彼が“女を侍らせている”と言われていたことを思い出し、そこに人間も加えようとしているのだと思うと、また寒気が襲ってきた。
「ねえ、ハインリヒ様。お目当てのものが出品されるって本当なの?」
美しい女性がハインリヒに絡みつきながら質問をすると、彼はそれに応えながら「決まってるだろう?」と返事する。
「何のために今までネロを支援してきたと思ってる。……あの者は、俺の望みは何でも叶えるのさ」
ゴクリと唾を飲み込み、私は今にも叫びだしそうな自分の口を手で塞いだ。
「ねえ、アルバさん……、やっぱり早く、シュヴァルツさんを探さないと……」
「シー、静かにしろ。始まるぞ」
ブザーが鳴り、ステージの明かりが消えた。