ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋
あたりは一度真っ暗になり、そのあと司会者だけがパッと照らされる。
会場は静まった。
「皆さま、長らくお待たせいたしました。ただいまよりオークションを開催致します」
一斉にいくつもの拍手に包まれ不安は最高潮に達し、足もとがカタカタと震え出した。
髪の中にいたノア君は辺りが暗いことを察すると、肩の上へとおりてきて、心配そうに頬にすり寄って慰めてくれる。
ステージのそでから、胸元の開いた黒いドレスを着た女性がワゴンを押して出てくると、そこに乗っていたクロスのかけられていた品物をガラステーブルの上に置いた。
「早速まいりましょう!一品目はこちらです!女王エカトリーネが身につけていたエメラルドの首飾り!」
司会者の掛け声のあと、品物のクロスがとられ、ここまで輝きが届くほどのエメラルドが埋められた立派な首飾りが現れた。
歓声が上がった後、間髪いれずに「三百!」「三百五十!」「四百!」と観客の中から声がして、声を上げた人々はナンバーパドルを司会者に向けて高々と掲げている。
「金貨の枚数を言って、ナンバーパドルを見せる。一番高い値を張れたやつが品物を手に入れるってわけだ。じきに落札者が決まる」
アルバさんの言ったとおり、次第にコールがぽつぽつと少なくなり、司会者は決定の合図のハンマーを打ち付け、落札価格と落札者のナンバー読み上げた。