ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋
それでもシュヴァルツさんを好きになって、やっと分かった。
好きという気持ちはまるで宝物のようで、真っ暗な道を照らす光のようで、本当は、もうずっと前から誰かと繋がりたくて仕方なかったこと。
「二十一万!」
「二十二万」
「二十三!」
「二十四」
金額をコールし続けるシュヴァルツさんの横顔を見ながら、私の頬には涙が一筋流れていった。
今の状況は、こんな私が繋がりを求めた結果どうなるのかを非情にも物語っている。
恩人であるシュヴァルツさんにさんざん迷惑をかけた。不幸にした。
この運命が変わることはない。
「二十五!」
「……三十」
「なんと門番シュヴァルツ、金貨三十万をコール!さあ対してハインリヒ伯爵はコールを続けることができるのでしょうか!」
闇の外では競りが続いており、金額がつり上がるとともに会場のボルテージも上昇していく。
余裕の表情を浮かべていたはずのハインリヒは徐々に萎縮し、噛み合わさる牙がガチガチと音を立てていた。
「………クソッ……!三十一万!」
「ハインリヒ伯爵、やはりここでさらにコール!」