ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋
「シュヴァルツさん!」
両者の力が拮抗している状態、私も手を貸せばこちらが有利に働くのかもしれないが、真っ白になった体は動かず、力の貸し方も分からなかった。
私はまた、シュヴァルツさんに守られながら、泣き叫んで名前を呼ぶことしかできない。
ネロはその状態のままブツブツと話を始めた。
「よく今まで捕まらずにここへ潜り込んだのう。お主には人間誘拐の容疑をかけておいたはずなんじゃが」
「……やはりお前の仕業か、ネロ」
「ダークナイトが取り逃がした人間をお主が匿っておることぐらいすぐに分かったわい。お主、その人間を連れて黒の塔にやって来たとき、人間界で四件の行方不明事件が起きておると口走ったろう。あのとき四件目の事件は、人間界でも公になっておらん」
あのとき、敵の言葉から穴を探し出そうとしていたのは、ネロも同じだったのだ。
ネロは皺だらけの顔をさらに深く歪ませた。
「わしはな、シュヴァルツ。貴様のように人間界に毒された若造が大嫌いじゃよ。この世界は無償のものなど存在せん。何事にも見返りが必要じゃ。支援する者たちから受けている恩恵を、わしは返さねばならん。……それこそ、人間を欲する者には、人間を、のう」
ネロの粘着性のある視線が、私に向けられた。