ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋

「はい。アカリ様。ずっと抱えて下さりありがとうございました!」

「そ、それは全然いいですけど……」

なんで寝たふりを?頭がこんがらがってきた。

「ノア。鍵を出せ」

「はい!」

「えっ……?」

するとノアくんは、あーんと大きな口を開け、舌の上に置いてある金の鍵を私達に見せた。

アルバさんは唾液で光る鍵に“うぇっ”と声を漏らし、私もそれに手を伸ばすことは躊躇われた。

「ど、どうしてノア君が鍵を持ってるんですか?」

「ほえはへふへ、はーくはいほにほひははっはほひひ」

「えーと……」

鍵を置いた舌をベロンと出したままでは、ノア君が何を言っているのかまったく分からない。

助けを求めてシュヴァルツさんとアルバさんを交互に見たけれど、ふたりはそっぽを向いている。

私は観念して、そっとノア君の口の中に手を持っていき、親指と人差し指で、舌の上にある鍵の端っこをつまみ上げ、ペロリと剥がした。

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