ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋
「シュヴァルツ、急いだほうがいいぜ。奴らが来てる」
アルバさんが呟いた。
私にはまだ駄々を捏ねる余地があったのに、背後から「いたぞ!」と怒号を上げ、ベルベットの騎士団が詰めかけていた。
それをとらえると、話の決着がつかないままシュヴァルツさんに抱えられ、素早く廊下の先へと連れていかれる。
「おいシュヴァルツ!ひとり持てっつーの!」
倒れたままの女の子たちをアルバさんは背にひとり、両脇にふたり抱えて走っていた。
「生憎、俺の両手は塞がっている」
そう答えたシュヴァルツさんだが、それは私のことをお姫様抱っこしているからで、私のことも脇に抱えて持ってくれればあとひとり抱えられるはずだ。
「てんめぇ〜!」
「ア、アルバ様!どうぞ僕の方へおひとり!」
見かねたノア君は、コウモリから人間の姿へと変化し、足をつけて走り出す。
「おうノア、背中のお嬢ちゃんを持ってってくれ。ったくお前のご主人様何とかしろ」
可憐な少年に戻ったノア君は、アルバさんの背中でぐったりとしている水無月さんの体を走りながら受け取り、背に乗せた。
小さな体だが意外と力があるようで、すぐにシュヴァルツさんに追い付いてくる。