ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋

「会いたい……会いたいです……会いたい……シュヴァルツさん……」

想いを言葉にすればするほど、涙が溢れてくる。

人を恐れず、逃げることをやめた。友達ができた。家族と話せるようになった。前を向いて歩けるようになった。自分の幸せをちゃんと願えるようになった。

シュヴァルツさんに出会って、私は変われた。

でも、相変わらず毎日ここで泣いているのは、貴方がどこにもいないから。

「……また泣いているのか」

──え?

その声は、背後からだった。

膝小僧につけていた顔が浮かせ、ゆっくりと後ろを振り返ってみる。

そこには外の光が射していて、桜の花びらが数枚舞っている。

ひらりと迷子の花びらが落ちた先には、私が二年間探し続けていたあのシュヴァルツさんが、あのときの姿のままで静かに立っていた。

夢かと思った。そうだ、夢だ。ここへ入るときには桜はまだ咲いていなかったもの。

ついに彼に焦がれすぎて、幻覚が見えているのかもしれない。

< 204 / 209 >

この作品をシェア

pagetop