ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋
彼の舌がかなり奥まで入り込んできたとき、私は突然、手足に今までにない痺れを感じ、立っていられずにガクンと腰から崩れ落ちた。
彼はそれを許さず、しなる私を抱き抱えて体を支え、無理矢理キスをし続ける。
この痺れが何かの合図だったのか、彼は“引き当てた”とばかりに口の中のその部分だけを執拗に攻めるのだ。
手足の先にあった痺れは体の中心へと集まってきて、それが食道を伝って口の中へ昇ってくるような感覚に襲われた。
その感覚どおり、その痺れは赤い光となって私の口の中で溢れ、外へと出ていく。
彼がその光をすべて口で受け止め、さらに彼はそれを飲み込んだ。
するとすぐに、さんざん好き勝手にされた唇はあっけなく解放された。
体を支えていた手も離され、私は反動で床に尻餅をついた。
呆然としたが、お尻の痛みで正気を取り戻した。
「あのっ……一体何をするんですか、いきなり、キ、キ、キスするなんてっ……」
息切れを起こしている私とは対照的に、彼は涼しい顔で自分の唇をひと舐めしたあと、パチンと襟を留め直した。
乱れているのは私だけで、彼の方は無茶苦茶なキスをした後だとは思えないほど整っている。