ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋


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扉の外へ出るとまずオーケストラの音楽が耳に入った。

聞いたことのない曲で、不気味で楽しげな、短調の曲だ。

廊下に出て、赤絨毯に従って歩いたその先は、部屋にいたときの静けさが嘘のように、多くの人で埋め尽くされた広間になっていた。

オーケストラの楽団に、そして何百人という人が入れる広さがある。

ここは社交場か何かだろうか。

派手な衣服を纏った貴族のような人ばかりで、彼らは踊ったり優雅に話したりとしていることは様々で、目が回りそうだ。

すれ違う人全員、目が赤く、肌の血色が悪いということに気が付き、私は思わず息を飲む。

今までにふたり、ヴァンパイアの実物を見たせいで、ここにいる人は全員ヴァンパイアだと判別できた。

改めて。私って、とんでもないところに来てしまったんだなぁ……。

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