ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋
シュヴァルツさんの首にギュッと抱きついても、彼を止めることはできそうにない。
やがて暗い森の中へとゆっくり降りて地面に足をつけると、シュヴァルツさんもノア君も羽の姿を消した。
「アカリ」
私は腕から一度放され、代わりにシュヴァルツさんの白手袋の指が、頬に触れる。
暗闇の中でも、彼の瞳は赤く輝いていて、その目にまっすぐに見つめられながら、後退りする私の背中が大木の幹へくっつくまで彼は迫ってきた。
「あの、シュヴァルツさん……?」
大木の幹と、彼の体の間に、すっぽりと挟まれる形になる。
逃げ場がなくなると、逃げる気がなくとも不安になるものだが、彼はそんな私に構わず、距離を詰めることをやめなかった。
「アカリ。襟を緩めろ」
彼の言葉を理解するよりも早く、リボンが襟の中を滑っていく感触がして、足もとに落ちた。
リボンをほどかれたのだということに気付くと、体は火がついたのかというほど熱くなった。