ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋

「え、あの、何をっ……」

「聞こえなかったのか。襟を緩めろ。体内に人間の血が多すぎるせいで、ヴァンパイアの姿を保つことができないのだ。街へ行く前に、少し減らしてやる」

それが襟を緩めることとどう関係あるのかは謎だったが、彼の言うことには抗えず、従うしかなかった。

震える手で、ブラウスのボタンを上からふたつほど開けたが、彼はそれでは満足せず。

「あとひとつだ。開けろ」

クイッと顎で胸元のボタンを示され、心臓の音は際限なく大きくなっていく。

それもそのはず、あとひとつ開ければ、胸の膨らみが露になる。

しかし彼はあまりにもそのことに興味がなさそうで、こうして拒否する仕草を見せることは、私がのほうが間違っているんじゃないかと思えるほど。

いつのまにか、私は羞恥に耐えて固く目を閉じながら、三つ目を開けていた。

< 54 / 209 >

この作品をシェア

pagetop