ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋


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森を抜けて、街へと入った。

レンガ造りの道を進んでいくと、黒く統一された民家が建ち並び、その先には旗の掲げられた大きな城が建っていた。

空から見ていたときは光に溢れた街に見えたが、こうして降り立つと不気味だった。

賑やかな人々の声も、そばで聞けばどれも下品な口調で耳に障る。

そこらじゅうにいる『ベルベットの騎士団』という人たちも、重曹な装備で練り歩き、目を光らせては住民たちを怒鳴りつけ、空気は殺伐としていた。

シュヴァルツさんは街の様子にはかまわず、この道の先に見える城を目指してまっすぐに進んでいく。

「もしや、貴方はシュヴァルツ様ですか!? ああ、お会いできるなんてっ……!」

途中、住民のひとりがシュヴァルツさんに声をかけてきた。

その中年の男性は擦りきれた黒いマントを身につけていて、上等な生地の衣服を着ているシュヴァルツさんと対比すると酷くみすぼらしい姿をしている。

この人、シュヴァルツさんを慕っているのかな。

「下界に降りていらっしゃるなんて知りませんでした。宿をお探しなら、どうか私の宿に泊まっていかれては……」

「黙れ。近寄るな」

耳を疑った。

シュヴァルツさんは駆け寄ってきた住民にひどく冷たい言葉をかけ、目も会わせず、手すら触れずに、その人を突き放したのだった。

住民は眉を寄せて俯いたあと、すぐに私たちから離れていく。

あの人は宿を貸してくれるって声をかけてくれただけなのに、どうして……?

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