ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋
極上の血に、純潔……。
私のことだ……。
館ではシュヴァルツさんが傷口を治してくれたはずなのに、あの書斎に充満した血の匂いが外へ流れ出してしまったのだろうか。
ちらりとシュヴァルツさんを見ると、難しい顔で何かを考えている。
「ネロ。人間界に、悪しきヴァンパイアが渡っている」
「ほう?」
「その極上の血を持つ純潔も、ヴァンパイアに襲われた。襲われた人間はひとりではない」
「……それは人間界へ旅行へ行った者たちから聞いておる。館のある町で、若い女たちの行方不明事件が起きてる、とな。そのことを言っておるのか?」
「ああ。襲われた人間たちはこちら側へ連れ去られているだろう」
そうか!
他の行方不明事件の被害者たちも、人間界で見つからないということは、私と同じくこちら側に来ていると考えるのが自然だ。
犯人が人間の血を手に入れることが目的で、自分の世界へ連れ去ったのだとしたら……被害者たちを殺そうとはしないはず。
冷静にそう分析していくと、彼女たちがまだ生きていることに希望が持てた。