ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋
「それと、俺の代わりに門番を務めていた者は誰だ」
「……なぜそんなことを聞く?」
「その者からまだ扉の鍵を受け取っていない。そのために昨晩も館へ出向いたが、代理の門番は留守だった」
会話の進行とともに、私は小声でノア君に「許可って何ですか?」「扉の鍵って何ですか?」と分からないことを逐一質問をした。
ノア君は「人間界へ行くためには旅行許可を申請し、門番に認可されなければなりません」「人間界への扉は常に施錠されていて、門番の持つ鍵でのみ開けることができるのです」と丁寧に答えてくれた。
「お主の代わりに門番を務めていたのは『ダークナイト』という男じゃ。しかしシュヴァルツ、どちらにせよ、まだお主にも鍵は必要なかろう。人間が紛れ込んだとあっては、とても扉の開閉はできん。この件が片付くまで、お主は引き続き休暇じゃ」
これで話は終わったとばかりに、ネロさんはまた本を開き、そこへ視線を下げた。
この偏屈なお爺さんは、これ以上何も言わないだろう。
初めて会ったばかりだけれどそう思った。
シュヴァルツさんもそこで切り上げ、私の背を巻き込んで踵を返した。
「ときに、シュヴァルツ」
「……何だ」
部屋を出ていく寸前で、ネロさんはもう一度呼び止めた。