ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋
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城から出ると、街の明かりは弱まっていた。
シュヴァルツさんは立ち並ぶ民家の中で一際大きくて豪華な宿を選び、躊躇なくそこへ入っていく。
彼は仮面をつけて自分の顔を隠し、宿の中では身分を明かそうとはしなかった。
受付で金貨を三枚渡すと、周囲の部屋とは遮断された大きな角部屋へ案内される。
私はふたつ並んだベッドのうち、ひとつに腰かけた。
三人でふたつのベッドをどう使うのか、つまり、ノア君は私の隣で寝るのか、それともシュヴァルツさんと寝るのかが分からず、一応、ひとり分のスペースを開けておく。
シュヴァルツさんはやはりもうひとつのベッドに腰かけると、仮面を外し、軍服の襟を緩めた。
男の人と同じ部屋で過ごすのは初めてだ。
ひとりでは恐いから、もちろんそれで助かるけれど、くつろいだ彼の姿を見るのは、少し緊張する。
「シュヴァルツ様。ネロ様にお話しなくて良かったのですか?アカリ様のこと」
ずっと聞きたかったことをノア君が尋ねてくれた。
ネロさんという人の手を借りないなら、そもそもあの塔に出向いた意味はあったのだろうか。
てっきり私のことを話して帰す算段をつけてくれるのかと思ったんだけど……。
シュヴァルツさんはゆっくりと上着を脱ぎ、手を伸ばして椅子にかけた。
上質なグレーのワイシャツ姿になり、さらにそのボタンも上からふたつほど開けた。
「ネロは何かを隠している。信用できない」
「えぇ?指揮官のネロ様が?今回のアカリ様の事件に関わっていると?」
「ああ」
また状況が変わったらしい。
とりあえずシュヴァルツさんの話を聞くため、私はきちんと彼に向き合い、聞く姿勢をとった。
ノア君も私の隣に腰かける。