ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋

ふたつのベッドと暖炉、そして炭のような黒い木で作られた家具に囲まれたこの部屋で、ランプをひとつだけ灯した。

彼の輪郭が、ランプの炎で美しく浮かび上っている。

パチパチという薪の音が響く中、私達は静かに話を始めた。

「シュヴァルツさんは、どうしてあのお爺さんを疑っているんですか?」

「奴の話を聞いていただろう。ネロは俺が“襲われかけた人間”を匿っているんじゃないかと言っていた」

「そうですね。でも、本当にそのとおりだったから、鋭い人だなぁとしか思いませんでしたけど……」

私はさらに頭の上にハテナを浮かべた。

「俺はネロに、お前が襲われたことが未遂であったとは告げていない。何も知らない奴から“襲われかけた”という言葉が出るのは不自然だ。襲われる寸前でアカリが未遂のまま逃げ切ったと知っているのは、俺達の他には、お前を襲った犯人しかいないだろう」

「あ……!」

たしかに、そうだ!

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