ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋
「私、シュヴァルツさんになら、いくらでも……」
つい、感情が高ぶって、思ったことを呟いていた。
しかし、それを聞いたとたん、彼は我に返ったように私の体から口を離した。
突然快感が失われ、私も彼を見ると、肩が上下するほど荒い息をしている。
何か変なことを言っただろうか。
「……アカリ、忠告は二度目だ。お前の言葉は軽率すぎる。己を差し出すようなことを言えば、たとえ俺に処女を奪われても文句は言えんぞ」
とんでもないことを言われた気もするが、怒られたことへのショックが先にあり、ビクリと体が震える。
「ご、ごめんなさい……」
「もう寝ろ。これだけ血を抜けば魂も収まる」
彼は立ち上がり、ベッドのそばにあったソファに腰かけ、そのままもたれるように目を閉じた。
シュヴァルツさん、そこで寝るつもりなの……?
隣の私のベッドを見ると、そこにはすでにノア君が大の字で眠っている。
こうなっては、たしかに私はシュヴァルツさんのいたベッドで眠るしかないけれど、そのために彼をソファへ追いやるのは、気が咎めた。