ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋


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「あの、もしかして、白雪さんですか?」

買い物を済ませて帰る間際、隣で袋詰めをしていた、同じく大学生くらいの若い男性に声をかけられた。

茶髪で、ジャケット姿。誰だっけ……覚えてない。

「あの……私……」

私が戸惑っていると、男性は爽やかに笑った。

「突然すみません。同じアパートのニ〇ニ号室に越してきた夜野(ヨルノ)といいます。下の階に住んでる白雪さんですよね?一度、アパートで見かけたことがあって。思わず声をかけてしまいました」

「ああ、そうなんですか、アパートの……」

そういえば最近、上の階で誰かが引っ越し作業をする物音がしていた。

まだポストに表札が貼られていなかったから、名前は知らなかったけど。夜野さん、という人だったんだ。

私は笑顔を作ったが、体を硬くし、身構えた。

「こちらこそ、初めまして」

仲良くなるわけにはいかない。私といたら、この人に何が起こるか分からないし。

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