さようなら、ディスタンス。


「やっぱほっちのほうがうまいわ。こーかんしおー」


「何言ってるかわかんないっすよ」


「ほい」



アイスを交換しようということらしい。


仕方なく、彼からかき氷タイプのアイスバーを受け取り、わたしのを渡した。



知覚過敏気味のため、歯にあてないよう表面を舌でなぞる。


冷たさの中からほんのりとした甘みがとけこんでくる。



ゆっくり味わっていると、なぜか祐希に見つめられていた。



「何?」


「食い方えろっ」


「バカじゃないの」



最近、クラスの友達であるこいつ、祐希とよくつるんでいる。


女の子の友達よりも、気兼ねなく何でも話せる仲。



わたしたちには2つ、共通点がある。


恋人は1こ上であることと、遠距離恋愛であること。



わたし、西沢未織の彼氏は東京に。


こいつ、原 祐希の彼女は京都にいる。



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