年下御曹司は初恋の君を離さない
「待て!」
人の間を縫ってその男を追いかけたが、見失ってしまった。
改札を出て辺りを見回したが、その男の影も形もない。諦めるしかないだろうか。
見失ってしまったが、まずは駅員さんにこの証拠写真を提出して、痴漢対策を強化してもらった方がいいだろう。
小さくため息をついていると、後ろから声をかけられた。
「あ、あの!」
驚いて振り返ると、そこには先ほど痴漢に遭ってしまった女の子が真っ赤な顔をして立っていた。
所在なさげで佇んでいる彼女を見て、思わず眉を下げてしまう。
可憐で儚げな彼女は、とても可愛らしい。庇護欲をかき立てられる。
涙目で私を見上げる彼女を見て、私は慌ててしまった。