年下御曹司は初恋の君を離さない


「ごめん。ビックリしたよね?」

 彼女こそ被害者だ。
 あんな中年オヤジにお尻を触られて、気持ちが悪かったに違いない。それに、怖かったことだろう。

 あのオヤジを捕まえることも大事だが、まずは彼女のフォローをするべきだった。

 今にも泣き出してしまいそうな彼女を見て、私は腰を屈めた。
 彼女は高校生ぐらいだろうか。Tシャツにジーンズというラフな格好に、黒いデイパックを背負っている。サラサラの髪はショートカットで、彼女の可憐さをより強調しているように思える。

 スッと筋の通った鼻梁、小さな薄い唇はピンク色に色づいていて可愛らしい。
 長い睫が影を作り、美少女っぷりを上げているようにも思える。
 あと数年もすれば、大きく花開くであろう彼女。今回の出来事がトラウマとならないことを祈るばかりだ。

「本当にごめん。犯人を捕まえ損ねてしまった」

 本当に悔やまれる。グッと奥歯を噛みしめていると、その彼女は首を大きく横に振った。

「とんでもない! 助けていただけて感謝しています」
「でも……女の子にあんなことする男、絶対に許せないんだけど」
 
 怒りを滲ませていると、目の前の彼女は少しだけ戸惑ったように視線を泳がす。そして、縋るように私を見つめてきた。

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