年下御曹司は初恋の君を離さない

 再び車内が揺れる。友紀ちゃんにより近づいてしまったことに詫びを入れようとしたのだが、その大きな腕の中に導かれてしまう。

「ちょ、ちょっと! 友紀ちゃん?」
「……」
「友紀ちゃんってば!」

 なんとかその腕の中からの脱出を試みるものの、友紀ちゃんにギュッと抱きしめられてしまって抜け出ることができない。

 抗議の声を上げようとしたときだった。キュッと力強く私を抱きしめたあと、友紀ちゃんは耳元で囁く。

「早く……俺だけの未来さんになって」
「え?」
「好きだよ。未来さん」
「っ!」

 ジワジワと身体中が熱くなっていくのがわかる。
 まさか、公共機関で突然の抱擁、そして告白をされるだなんて思っていなかった。

 心の準備が整っていないときに、不意打ちでこんなこと言われたら困る。
 ドキドキしすぎている心臓の音は、きっと友紀ちゃんに知られてしまっているだろう。

 こんなに密接にしていたら、隠したくても無理だ。
 だからこそ慌てて離れようとするのに、彼は私を解放してくれるつもりは全くないようである。
 必死の形相の私に、彼は追い打ちをかけてきた。
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