年下御曹司は初恋の君を離さない

「ちょ、ちょっと、友紀ちゃん。手を離して?」
「ん? 離す必要性を全く感じないよ?」
「え? でも……これは仕事の一貫でしょ?」

 和菓子博に行こうと友紀ちゃんが思ったのは、今後の商品開発のアイディアなどを得るためだろう。
 となれば、それはあくまでビジネスだ。だからこそ、私はこうして友紀ちゃんと一緒にやってきたのだ。

 不思議に思って友紀ちゃんを見上げると、彼はおかしそうに噴き出した。そして、開いた扉を確認したあと、ホームへと降り立つ。もちろん、私の手をひっぱって、だ。

「手、離して」
「だから、離す必要性を感じない。それより、俺は未来さんと手を繋ぐ必要性しか感じない」
「は……?」

 何を言い出したのか、この人は。

 唖然としている私の手を引いたまま、彼はホームを闊歩していく。
 人の流れに逆らうことなく、だけど後ろにいる私に気遣いながら友紀ちゃんは改札を抜けた。
 だが、未だに手は繋いだままだ。

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