年下御曹司は初恋の君を離さない


「久保、未来さん……ですね?」
「君は、友紀ちゃんか」
「は、はい!」

 頬を真っ赤にさせて頷く友紀ちゃんは、めちゃくちゃ可愛い。
 愛犬というか……妹のようだと、思わず目尻が下がる。
 スマホをジャケットのポケットにしまい込んだあと、私は彼女を促した。

「ほら、こんなところにいたら学校に遅刻してしまう」
「は、はい」

 名残惜しそうにしている彼女を見て、私はクスクスと声に出して笑った。

「何かあったら連絡してきて。講義受けているときは返信できないけど」
「未来さんは、大学生なんですね」

 小さく頷くと、友紀ちゃんはキュッと唇を横に強く引き、私を見上げてきた。

「何かなくても……、連絡していいですか?」

 必死の形相に、思わず噴き出してしまいそうになる。

 ここで断ったら、耳を下げてしょげる子犬のように落胆するのだろうか。
 そんな彼女も見てみたいと思ったが、さすがにそれは意地悪だ。

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