年下御曹司は初恋の君を離さない
「いいよ」
フッと力を抜いて笑うと、友紀ちゃんは綻んだように笑った。
そんな彼女を「早く学校に行きなさい」と促すと、何度も私を振り返り手を振ってくる。
ああ、もう。そんなことしていたら、学校に遅刻してしまうだろう。
だが、そんな彼女の仕草が可愛らしくて、思わず目尻が下がる。
彼女が改札を出たのを確認したあと、ホームへと足を向ける。
すると、知り合いの駅員さんが私を見て大慌てして近寄ってきた。
駅長室から出てきたところを見たのだろう。その駅員さんは声を上げる。
「もしかして、また!?」
心底心配してくれている駅員さんに、私は苦笑いを浮かべた。
駅員さんは、私がどれほど昨年辛い思いをしてきたのか知っている。だからこそ、とても心配してくれるのだ。
顔を青ざめて心配し続ける駅員さんに、ゆっくりと首を横に振る。
「大丈夫です。そのための男装ですから。この姿になってからは、一度もないですよ。外に出るときは、徹底的に男性の振る舞いをしてますし」
「そ、そうなんだ……良かったよ、本当」
ホッと胸を撫で下ろしている駅員さんに、先ほどの出来事を話す。
すると、安堵していた駅員さんの表情が再び固まった。