年下御曹司は初恋の君を離さない
男装して生活をするまで、私は何度も痴漢に遭ってきた。
それだけでは収まらず、ストーカーっぽい人に追いかけられた経験もある。
だからこそ、先ほどの彼女の辛さが痛いほどわかるのだ。
しかし、駅員さんが心配する理由もよくわかる。
押し黙る私を見て、駅員さんは困ったように息をついた。
「久保さんの気持ちもわかるけど、危ないマネは絶対にしないこと」
「はい」
しょんぼりと肩を落とす私に、駅員さんは困ったように肩をすくめた。
「とにかく自分の身を守ることを第一に考えてね」
「わかっています」
自分の父と同じ歳の駅員さんには、自分が痴漢に遭ったときにいつも助けてくれたし、勇気づけてもくれた。
彼の笑顔を見るとホッと安堵する。
駅員さんに挨拶をしたあと、私は再び電車に乗り込み、大学へと急いだ。