年下御曹司は初恋の君を離さない

 お昼を断られ失意のあまり未来さんの跡をつけた智子は、そこで険しい顔をした未来さんを発見したらしい。

「そうなのよ! 携帯をジッと見つめてね。多分だけど、メールをチェックしていたんだと思うの。こう、指でスクロールしながら眉間に皺が寄っていてね」
「うんうん」
「で、そうかと思ったら目を大きく見開いて、大慌てし始めるのよ」
「大慌て……」
「そう! それがビックリするほど顔を真っ赤にするのよー! 可愛いし、麗しすぎるー!」
「……」

 最初こそ心配そうな口調だったのだが、最後にはなぜか『未来様の笑顔が美しすぎる件』について話し出す始末。さすがは未来さんフリークの智子である。

 未来さんの素敵な笑顔と表情について熱く語る智子だったが、ふと今はそのことについて話している場合ではないと気がついたようだ。
 スッと真面目な顔に戻り、神妙な声色で言う。

「とにかくそのときの未来様の表情がね、とにかく可愛かったの。あれは……そうね。恋をしている表情ってヤツかしら」
「恋……」
「そうよ、ゆきちゃん! 私の未来様がどこかの輩にメールで口説かれているのよ!!」

 ガラスのテーブルをダンと叩くと、智子は唇を歪める。
 だが、すぐに肩を落としてしょんぼりとし始めた。
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