年下御曹司は初恋の君を離さない

 時計を確認するとそろそろお昼になろうとしている。
 社長の用事は午前中だけだと聞いているので、そろそろ帰社する頃だろう。

 智子も時計を確認して、小さく息を吐き出した。

「そろそろ未来様と社長がお帰りになりますね」
「ああ」
「今日も私、未来様に振られてしまうのかしら」

 しょんぼりと肩を落としている智子を励まそうとしていると、ちょうど副社長室に社長と未来さんが入ってきた。どうやら外回りの方は終わったようだ。

 俺はソファーから立ち、社長に軽く頭を下げる。

「お疲れ様でした、社長」
「ああ……まぁ、もうすぐで昼になるな」
「え、ええ……」

 なんとなく嫌な予感がしながらも頷くと、社長は先ほどまでの会社人の顔を脱ぎ捨てて家でくつろぐ普通のおじさん風情になる。
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