年下御曹司は初恋の君を離さない


 誰もいない場所で話したい、という友紀ちゃんの要望により、ファストフード店でコーヒーを買ったあと、近くにある公園へと足を運んだ。
 今はランチタイム時ということもあり、公園には子連れ親子の姿はなく、閑散としていた。

 人には聞かれたくない話でも、ここなら大丈夫だろう。
 私たちは無言のまま、ベンチに腰掛けた。

 緑深い公園では、時折蝉の鳴き声が聞こえてくる。そろそろ夏本番といったところだろうか。

 隣りに座る、友紀ちゃんを盗み見る。
 やはり、いつもの元気はなく、どこか暗く落ち込んでいるように見えた。

 私は、そんな彼女を労るように口を開く。

「友紀ちゃん、ここ最近元気がないみたいだけど」
「っ!」
「何か悩みでもあるの?」

 彼女の顔を覗き込むように見つめると、フイッと視線を逸らされてしまう。

 今までこんな態度を取られたことがなくて、内心ショックを受けた。
 だが、そんな態度を取るということは、やはり友紀ちゃんの身に何かが起きている証拠でもある。

 再び痴漢に狙われているのだろうか。
 私に事実を知られると心配をかける、迷惑をかける、そんなふうに考えているのかもしれない。

 刺激しないよう、細心の注意を払って彼女に話しかけようとした時だった。
 友紀ちゃんが重い口を開く。

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