年下御曹司は初恋の君を離さない
「ずっと話せなかったんですけど、私……明日から数年日本を離れます」
「え……?」
衝撃的な事実を目の当たりにし、私の頭は真っ白になっている。
目を大きく見開いて、ただ友紀ちゃんを見つめるしかできない。
身動きできないでいる私を見て、彼女は辛そうに視線を逸らした。
「もともと今年から留学することは決まっていたんです。ただ、未来さんにはなかなか言えなくて」
「うそ……」
それ以上何も言えなかった。ただ、あまりに突然の出来事で感情が追いついていかない。
友紀ちゃんを痴漢の魔の手から救い出して、早半年。
彼女が高校生の間は、ずっとこんな時間が続くのだと信じて止まなかった。
だからこそ、ショックが大きい。
ただ、友紀ちゃんを見つめることしかできない私に、彼女は弱々しく笑った。
「明日からは、未来さんに守って貰わなくても大丈夫なんです」
「……そんな、寂しいこと言わないで」
思わず涙声になると、友紀ちゃんは困ったように小さくほほ笑んだ。
「半年前、自分はとても不甲斐なかったと思っています」
「え?」
「痴漢に立ち向かえなかったこと」
視線を落とす友紀ちゃんに、私は大きく首を横に振った。